茶室「豊翠庵」ができるまで 2023

0.はじめに
昨年、賃貸していたイタリア料理店の貸店舗が退出し、次をどのように貸すか検討中、貸茶室が思い浮かびました。思いきって茶室設計士さんに相談!提案いただくことになりました。
1.デザイン
茶室の炉の深さや水屋の勾配を作るため、土間から二段階に床を上げる設計です。
もともと中央より左よりに柱が2本あり、これが一番悩ましい課題でした。しかし大工さんのアイデアで柱を切って茶室の屋根の上にのせることになり、空間が有効に使えるようになりました。最近は、正座ができない方が増えているので、土間から椅子で参加できるように、土間と茶室の仕切りを障子としました。床の間は全体から見やすいように下座床です。
最終的なデザインは、誰でも茶会に参加しやすく、交流の場となるような素敵なデザインになりました。
2.クリーニング
イタリア料理店の油汚れや臭いが取れるか心配でしたが、プロのクリーニングは想像以上に優秀です。まったく油の臭いは無くなりました。掃除が難しい天井や壁、窓ガラスもきれいになりました。
3.塗装
壁や天井のシミは、真っ白な塗装で清潔感のある空間に生まれ変わりました。
4.木材
大工さんが良い木材を手配できたそうで、丁寧に説明してくださいました。
木は香りがいいですね。木目が美しいです。
5.建築の打合せ
打合せを重ねてより良い茶室になるように色々な工夫を考えてくださいました。
6.土間の黒い板壁
木目の質感が美しく見える良い色に濃さを調整してくださいました。存在感たっぷりの粋な黒塀になりました。長年茶道をされている塗装職人さんで、着物につきにくい塗料を選んでくださいました。
7.左官のお仕事
土間、茶室の内壁、外壁、水屋、正面の外壁は、全て左官です。たくさんの技術があり、選択肢が豊富なのに驚きました。
つるつるした触り心地の良い壁、藁をたっぷり含んだ凹凸のある壁、ひび割れをデザインとする壁、剣山で削り落とした壁。あれもこれも見てみたいとお伝えし、左官屋さんに調和するように選んでいただきました。
土や藁などを練りあげた自然素材をここで作ります。
雨季の頃で塗るタイミングが難しかったようです。ただ塗るのが早い!あっという間に塗り終わりました。塗った直後の色と、乾いた時の色が違うので色の変化を楽しめました。
8.茶室の足許
柱の下に根石(ねいし)、その間に差石(さしいし)を敷き詰めていただきました。この石の存在により茶室の格があががりました。石は削って高さを調整したそうです。
9.土間
下地を引く。乾かした後、またその上から塗る。乾いたら、磨く。時間がかかる工程を手際よく作業されてました。
10.茶道口
網代天井は大工さんの手編みです。
斜めにカットされた天井にフィットするように編んだとの事。壁付け照明の木枠は大工さんがどこかの建築を解体した時の廃材の再利用だそうです。
畳屋さんは茶道口の五角形の畳を貼るのに苦労されたみたいですが、琉球畳ですっきりとした空間に仕上がりました。
11.水屋
水屋のカーペットはお抹茶色を意識して薄いグリーンにしました。カーペットを敷く技術もすごいです。凹凸がない様に下にクッションをひいて、変形の床でも、端までピタッと貼ってくださいました。
下水工事、大工仕事、左官、板金工事を経て、素敵な水屋ができました。
板金屋さんの完成時のルーティーンで板金で作られた鶴と亀を飾っていってくださいました。粋ですね。
奥は狭くて天井が低いので穴蔵のような水屋になるのでは?と心配してましたが丁度よい広さでした。天井の高さも気になりません。
手作りの収納には大小の棚があり使いやすいです。
12.茶室
エアコンのルーバーは細部に強い大工さんのこだわりが詰まっており、茶室に調和していています。
14.仕上げ
照明は暖かいオレンジや涼しい白の明るさをBluetoothで調整でるようになっています。
畳、障子、襖が入って完成です。
点前座には腰張りを一段貼りました。
西の内(にしのだい)という茨城県常陸大宮市特産の和紙が伝統的に使われているそうです。
13.外観
格子の引き戸や窓枠も手作りです。入りたくなるような好奇心をそそります。
14.完成!
この地域に馴染んだ貸茶室や茶道教室として認識されるようにゆっくり工夫していきたいです。茶室「豊翠庵」(ほうすいあん)をよろしくお願いします。

建築に携わっていただいた皆様に感謝しております。ありがとうございました!

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